未来を、ここから。 〜GWJ:グローバルウェーハズ・ジャパン

当社の強みAdvantage of GWJ

グローバルウェーハズ・ジャパンに所属する技術者のインタビュー記事をご紹介します。


当社の強み - アニール技術 技術部 基盤技術グループ アニール技術担当 須藤 治生 Haruo Sudo


技術部門において、主にアニール技術の研究、開発を担当しています。
当社が保有するアニール技術は2種類あります。
ひとつは「ファーネスバッチアニール」、もうひとつは「ラピッドサーマルプロセス(RTP)」といいます。
そのうち、RTP装置を導入し各種実験に取り組んでいた際、ある温度で処理するとユニークな現象が起きることを私たちのグループが発見しました。
この発見によって、当社のシリコンウェーハ製造技術に「革命」が起きたことが最も印象に残っています。

2003年入社
最終学歴 岡山県立大学 大学院情報系工学研究科 システム工学専攻
社会人博士課程の研究テーマ 超高温急速熱処理がSiウェーハ中の点欠陥と格子欠陥の挙動に与える影響
(博士論文)

ユニークなアニール技術との出会いが技術者としての出発点に

私は山形大学で修士まで修了しました。
そのときの研究テーマは「有機無機複合材料」で、熱処理を加えることによって物質を状態変化させるというものでした。
修士を修了し将来の進路を決める際、私の研究とはマテリアル(素材)こそ異なるものの、シリコンウェーハを熱処理し、状態を変化させるという共通点から「水素アニール技術」に興味を持ったことが、当社との出会いです。

当社との出会いと同時に、シリコンウェーハに不純物を混ぜ、内部に拡散させる製品があることも知りました。
しかし当初は、「なぜ、高純度が必要なシリコンウェーハに不純物を混ぜるのか」が疑問でした。
そこで実は、採用面接の際に「なぜ、高純度が必要なシリコンウェーハに、あえて不純物を入れるのですか?」と質問してみたのです。
返ってきたのがとても親切でわかりやすい回答であったことに感動し、この会社だったら「働いて行けそうだ」というイメージが湧いたことを思い出しますね。

アニール技術は、シリコンウェーハに付加価値をもたらす重要でユニークな技術

シリコンウェーハの製造は、ブロック状のポリシリコンを溶かし、単結晶シリコンへと育成するところから始まります。
単結晶シリコンは直径200、300ミリメートル、全長1メートルを超える単結晶シリコンインゴットとして引き上げ、薄くスライスすることで、シリコンウェーハとなります。
しかし、この段階におけるシリコンウェーハの内部は、実は「欠陥」だらけであり、単結晶とはいえども決して高品質とは言えない状態です。
この欠陥を消滅させつつ、新たな付加価値が現れるように熱処理でコントロールすることが「アニール技術」の核心です。
こうして製品化したシリコンウェーハを用い、デバイスメーカーが様々なプロセスを加え、高品質な半導体ができ上がります。
当社は、シリコンウェーハに対する高品質化への一連のコントロールを、「熱処理技術」によって同時に行っています。
これが当社にとって強みとなっている「アニール技術」です。

欠陥消滅と同時に、意図しない表層への不純物拡散を防ぎ、強度もコントロール

たとえば、シリコンウェーハに金属不純物が付着した場合、その後の熱処理過程で、その金属不純物はシリコンウェーハ内部に拡散します。
もしもその金属不純物がシリコンウェーハ表層に存在した場合、このシリコンウェーハを用いた半導体はデバイス不良を起こします。
そこで、金属不純物をシリコンウェーハの深い部分にトラップ(捕獲/移動制御)し、表層に現れないようにする「ゲッタリング」という技術があります。
こうした技術を用い、表層の清浄度を非常に高めたシリコンウェーハとすることが、アニールウェーハに加えられる「付加価値」の一例です。
また、単結晶でありながら、機械的な強度を高めることも可能です。
何よりも、単結晶の欠陥を消滅させながら、清浄度を高めたり強度を上げる処理を同時にできることが、一番の強みだと考えています。

技術部門が成長していかなければ、未来は見えてこないから

先端技術をベースに、他社との競争を勝ち抜いていくためには、私たち技術開発部門の成長が欠かせないと考えています。
そして、技術開発部門が成長していくためには、私たち社員一人ひとりの成長が必要です。
そういう意味では、技術開発の世界は面白いものです。
当社を含め、現在勝ち残っている企業が立脚しているのは、自分たち世代の力だけでなく、多くの先輩たちが築いてきた技術が大きいです。
未来を見据えたとき、今私たちは「次世代を支える技術」を開発し、構築していくことが求められているのです。

私が新入社員だった頃、先輩社員は笑って「新人には期待していないから」と言いました。
また、「お前の失敗は失敗じゃないから大丈夫だ」と、様々な実験や研究を自由に取り組ませてもらうことができました。
そうした経験が、現在も技術者を続けている私を形づくったのだと感じずにはいられません。
その後私は、2021(令和3)年に「社会人ドクター(博士号)」を取得しました。
こうした挑戦を決断できたのは、多くの先輩社員たちが築き上げてきた当社技術部門の風土のおかげであり、また、次世代へと繋げて行くべき「技術を見極めていきたい」との思いからです。
私は今、技術開発、研究を通じ、これからも当社が「勝ち上がっていくための力」を蓄えていきたいと考えています。

※所属部署・役職は取材当時のものです。