未来を、ここから。 〜GWJ:グローバルウェーハズ・ジャパン

新製品の開発秘話Behind-the-Scenes Episodes of New Product Development

グローバルウェーハズ・ジャパンに所属する技術者のインタビュー記事をご紹介します。


新製品開発 技術部 技監 (フェロースペシャリスト) 泉妻 宏治 Koji Izunome


入社以来技術部門において、新製品開発につながる技術開発に携わって来ました。
その後、技術部門をまとめるマネージャーや部長を務め、その後技術担当の執行役員を務めました。
現在は技監、アメリカ風に表せばフェローとして、技術部門のサポートや次世代技術を取り入れていくためのロードマップ作成などに携わっています。
私の経験を通じて「世界と戦える技術開発」の一端をご紹介できればと思います。

1985年入社
最終学歴 東京理科大学 理工学研究科 物理化学専攻
社会人博士課程の研究テーマ チョクラルスキー法で調整したシリコン結晶とウエーハの特性評価(博士論文)

15年前に思い描いた未来へのイメージが今、主力製品に

私はこれまでに3つほど新製品、つまり新しい技術を開発し、社内に導入することができました。
いずれも私一人で行ったということではなく、もし新製品や新技術に「生みの親」と「育ての親」が存在するとしたら、私は生みの親に相当する役割を担ったといえるでしょう。

中でも現在、当社の主力製品となっている「ECASシリーズ」という製品群があるのですが、これらの基礎技術開発に携わったことが最も印象的です。
新製品、新技術開発は短いもので5年前後。長いものですと15年前後の時間を必要とするものもあります。
ECASシリーズに用いている基礎技術は、約15年ほど前に着想を得たアイデアに基づいています。
その後15年経ち「ブレイク」を実感できたときの喜びは、とても大きなものでした。

「日本列島」のようなシリコン結晶の性質

加工前のシリコン結晶(インゴット)をご覧になったことはあるでしょうか。
非常に大きな塊として引き上げられるシリコン結晶は、まるで「大間のマグロ」のようです。
そして、実はこのシリコンウェーハ結晶は、上から下までの性質(履歴)は全ての箇所で異なっています。
その状況は、北海道から九州、沖縄まで続く「日本列島」を思い浮かべていただくとわかりやすいと思います。

履歴を均一化する技術

この結晶を薄くスライスし、シリコンウェーハという製品に加工するのですが、北海道は北海道、九州は九州のままでは、安定した製品にすることはできません。
私が携わったのが、この履歴がバラバラなままのシリコンウェーハを処理し、任意の状態に揃える新技術です。
この新技術を実現させたことによって、当社では、お客様が求めている性質のものにカスタマイズしたシリコンウェーハを提供できるようになりました。
こうした飛躍を実現することができたのは、当社ならではの技術開発環境、そして新しい技術を工場に展開させた「育ての親」に当たる各部門による総力の賜物だと考えています。

世界を視野に、技術開発力で更なる飛躍を

当社技術部門では、もしかしたら私が「先導者」かもしれませんが、積極的に「社会人ドクター」つまり博士号取得を推奨しています。
その背景には、シリコンウェーハの技術開発ではグローバルな学術研究分野との連携がカギを握っている現実があるためです。
そのため、日本国内はもちろん海外の学会や研究機関と連携し、論文発表などにも積極的に関わっています。
そうした論文発表の場、特に海外においては、発表者が「ドクター(博士号取得者)」であるか否かが問われる場面が多くあり、その後の連携や情報交換などに影響することがあります。
広く海外にも目を向け、最新技術動向などを吸収し、自社が用いる新技術開発に取り入れていく。
実は、そうすることで「当社は技術優位性を備えている」「世界に勝てる」という実感を得ることができるものです。
こうしたサイクルを現在以上に機能させ、多くの技術者にとって「望ましい研究・開発環境」を整えていきたいと考えています。

※所属部署・役職は取材当時のものです。