未来を、ここから。 〜GWJ:グローバルウェーハズ・ジャパン

新技術ーAINew Technology - AI

グローバルウェーハズ・ジャパンに所属する技術者のインタビュー記事をご紹介します。


新技術 - AI 技術部 基盤技術グループ AI技術担当 永井 勇太 Yuta Nagai


シリコンウェーハの業界には、実に様々な技術領域があります。 結晶成長や加工、洗浄、アニール技術などが代表的ですが、私は技術者(エンジニア)として自信を持てる軸を持ちたいと考え、社会人ドクター(博士号)取得に挑みました。
現在は、自分自身の新たな挑戦として、スマートファクトリーの実現に向けてシリコンウェーハ製造プロセスへのAI活用に注力しています。
こうした取り組みを通じて、当社やシリコンウェーハ製造分野を「ワクワク感のある会社・業界」にしたいと考えています。

2010年入社
最終学歴 明治大学大学院理工学研究科
社会人博士課程の研究テーマ 極低炭素濃度シリコン単結晶のチョクラルスキー法による結晶成長とライフタイム評価に関する研究(博士論文)

ハイスピードで進化を遂げるシリコンウェーハ業界でAIを活用

めまぐるしく、とてつもないスピードで進化や変化を続けるシリコンウェーハや半導体業界で、お客様が求めるスピード感は「従来とは全く違う次元に差し掛かっている」と感じています。また、お客様から求められるウェーハに対する要求品質も年々向上しています。
そのような中で、従来と同様の技術開発や製品改善に取り組んでいたのでは、求められるスピードや品質レベルを満たすことが難しくなるのではないかという危機感がありました。
そこで、従来型の「技術者による新製品開発やプロセス開発」に加え、「技術開発をアシストするためのAIを開発しよう」という発想が出発点となりました。

シリコンウェーハ製造プロセスへのAI活用とは

近年製造業では、品質管理や生産管理などの領域においてAIを活用したスマートファクトリー化が急速に進んでいます。当社においては、シリコンウェーハの製造プロセスに対するAIの活用に力を注いでいます。これは、世の中的には「プロセス・インフォマティクス(PI)」という研究領域に該当します。
シリコンウェーハの製造プロセスには、単結晶インゴットの結晶成長からウェーハ加工、熱処理やエピタキシャル成長まで非常に多くのプロセスがありますが、それぞれのプロセスに対して達成すべき要求項目(品質、生産性、歩留まり、etc.)が数多く存在します。
そのような中で、より高品質なシリコンウェーハをより多く、効率的に生産するためのプロセス条件開発などに対してAIを活用する取り組みを行っています。論文やプレスリリースで公開している通り、AIを活用してエピタキシャル成長のプロセス条件を最適化することにより、生産効率を約2倍にまで引き上げるような実験にも成功しています。 こうした取り組みを通じ、従来、技術者が実験や計算機シミュレータなどを活用して行ってきた次世代プロセス開発に対して、AIが技術者をアシストすることで、その技術開発のスピードを飛躍的に向上させることに役立てられたらと考えています。
興味がありましたら、論文やプレスリリースをぜひご覧になってみてください。

プロセス・インフォマティクスを極めて、シリコンウェーハ製造の未来図を描く

「仮想空間上に並んだ装置で、高速にプロセス開発を行う」。そんなワクワク感のある未来図を描きつつ、まずはプロセス・インフォマティクスの開発と生産現場への実装を着実に進めていきたい。
シリコンウェーハの製造プロセスにはいくつもの工程があり、個々の工程を改善・最適化していくだけでも非常に時間が掛かります。個々の課題に対してAIを効果的に活用することで、スピーディーにプロセス開発を進めていきたいのです。
しかし、プロセス・インフォマティクスの分野では、単にデータサイエンスのスキルを有しているだけでは良いAIを作ることはできません。データサイエンスのスキルに加えて、それぞれのプロセスとそれらのデータを深く理解することが必要で、挑戦のしがいがあります。
そうしたプロセス・インフォマティクスの分野を極めることにより、先端半導体デバイスで求められるナノレベルの品質制御にも応えられるようなプロセス開発・プロセス制御を実現していきたいと考えています。

※所属部署・役職は取材当時のものです。