未来を、ここから。 〜GWJ:グローバルウェーハズ・ジャパン

業界分析Industry Analysis

グローバルウェーハズ・ジャパンに所属する技術者のインタビュー記事をご紹介します。


業界分析 技術部 基盤技術グループ 技術管理 中川 聰子 Satoko Nakagawa


次世代結晶開発や評価技術開発の担当を経て、現在は市場動向や技術動向の調査・分析に軸足を置いて活動しています。
シリコンウェーハ業界は世の中の進化とともに成長する大変魅力的な業界の一つだと思います。
まだまだ勉強中ではありますが、業界におけるウェーハメーカーの位置付けや、技術部として市場調査を行う意義、業界の魅力等について、私なりの考えをお伝えできればと思います。

2008年入社
最終学歴 総合研究大学院大学 物理科学研究科 宇宙科学専攻
博士課程の研究テーマ 電子線照射発光活性化法による極薄SOI層中軽元素不純物の評価(博士論文)

シリコンウェーハを取り巻く
市場環境と技術動向の調査分析とは

私は当社が製造販売を行っているシリコンウェーハを取り巻く市場環境、技術動向の調査分析を主軸に活動をしています。その他、当社が果たすべき学術的な社外活動をいくつか担当しています。
市場環境調査分析は、営業部もマーケティング活動としてウェーハ販売について検討、議論を行っていますが、私は技術部の一人としてウェーハ技術開発に必要な、当社オリジナルの技術ロードマップを作り上げることを目的としています。もちろんこれはエンジニアとの協力のみならずお客様との対話も重要な要素で、独りよがりなロードマップであってはならないと認識しています。というのも、これまでは良いものを作れば売れるプロダクトアウトの時代であったと思いますが、世の中はこれまでにないスピードで変化しており、技術進化の速度も過去に比べて大きくなっています。
このため、のんびりしていると技術開発に遅れてしまい、取り返しがつかない状況に陥ることは容易に想像がつきます。

ですから、世の中に必要なものをタイムリーに提示していくために、当社の強みや位置付け、特徴を理解して作られたマーケットインのような技術ロードマップが不可欠だと考え、技術部の一員としてこのような活動を行っています。
私個人としてはまだ経験が浅く、更に自分たちだけで調査できる範囲でもないため、色々な所属、立場の方へのヒアリングを依頼し、議論の機会をいただき、それらを多面的に考察、分析して自分たちに必要な地図を描こうとしているところ、という段階です。このような仕事内容のため、どちらかというと社内メンバーよりも社外の方との会話が多い仕事です。

業界におけるシリコンウェーハの立ち位置と
半導体業界が世の中に与える影響

シリコンウェーハを用いて半導体デバイスが製造され、半導体デバイスを搭載した電子機器が世界中のいろいろな場面で使用される。より便利で住みやすい世の中を形成し、それらが社会トレンドを作り上げる。このような位置付けであるので、シリコンウェーハは社会との結びつきが強く、社会を形成するうえで不可欠な材料だと思っています。更に、日本を含む世界各国が国の発展には半導体産業が重要であると位置付けており、各国政府の戦略や動向が与える影響も大きくなっていることから、我々が果たすべき役割や重要性もこれまで以上に高くなっていると認識しています。
今後も半導体市場は世の中の進化とともに拡大していく見込みであり、シリコンウェーハ業界も半導体市場の拡大とともに成長し、進化すると考えています。もちろん、シリコンウェーハ以外の化合物半導体等の需要も拡大していきますが、これらは用途に応じて使い分けられていく見通しであり、シリコンウェーハはまだまだ半導体基板として主要な位置付けを継続すると考えられています。

市場の流れから当社が受ける影響と市場・技術動向を調査する意義について

影響の大小はあれど、政治、経済、社会、技術のどこで変化があっても市場動向が変わるので、当社のビジネスには何らかの影響がみられるだろうと思います。これは、直接のお客様であるデバイスメーカの動向はもちろん、サプライチェーン上の繋がりがあれば影響が出ますし、サプライチェーン上にはなくともバリューチェーンを形成する何かに影響があれば、やはり影響が出ると思います。影響は大きさだけでなく時期や期間もさまざまでしょう。市場・技術動向を調査するのは、このような様々な変化をいち早く捉えるためでもあります。私の最終目的は先に述べたように自分たちのための技術ロードマップ作りですが、市場の波を迅速・的確にとらえ、見極めることは大前提だと考えています。

技術開発はいろいろな規模がありますが、丁寧に形にする場合は数年単位の時間がかかることも多くあると認識しています。このため、通常の販売計画よりも少し長期目線での市場予測が必要となる場合があります。長期目線が必要となるからこそ、市場の大きな波を捉えながら小さな変化を認識することが重要であり、これらを関係者と共有し、臨機応変に対応していくことが必要だと思っています。
市場の変化を見極めるのはもちろんとても難しいことです。少しでも多角的に、客観的に見られるよう、なるべくいろいろな方と議論するように心がけています。一見全然関係なさそうな方との会話でも多くの気付きがあることが多く、多方面の方に支えられていると実感しています。

業界・市場の流れに対して当社が目指していく姿とは

「未来をここから」自信を持って発信していけるような、自分たちを含め皆さんの未来のワクワクを作り上げる会社の一つであり続けたい、と考えます。
業界分析の観点では、足元で少し変動はあっても、将来に向け半導体市場は成長し続けると見られており、私もそのように考えています。市場の成長にこたえるには、ウェーハの数量だけでなく技術的な進化も大変重要なファクターでしょう。お客様が欲しい品質のウェーハを欲しいタイミングで、できれば他にはないちょっとプラスアルファの価値でお渡しすることが出来る、そんな会社が理想的だなと考えています。そのための準備として市場動向、技術動向の調査を実施し、当社の未来の指針となる技術ロードマップを将来を担うエンジニアと協力して作成し、技術開発に活かしていければと考えています。

市場調査、技術動向の調査は、数年前のまだ私が若手だったころ(笑)に、今の経営層やマネジメント層が退職した後、自分たちが会社を作り上げていくために何が必要か?(当時の言葉で書くと「2030年、2040年に自分たちがおいしいご飯を食べるためにはどうしなければならないか?」でした。)と考えた際、必要な活動であると決めたものの一つです。当時、「若手が頑張っているなら!」、といろいろなメーカー、立場の方がヒアリングに快く応じてくださいました。その方々とは今もかかわりを持たせていただいており、大変貴重な人脈になっています。なお、今の若手社員で、「全ての経験と皆さんとの会話が自分にとっての栄養だ」と表現しているメンバーがいましたが、私の活動もこの表現に当てはまり、支えてくださった皆さんとの会話すべてが今の活動の「栄養」になっていると感じます。お世話になっている方々への感謝の気持ちを忘れず、メーカーとしても、個人としても前進していきたいと考えています。

※所属部署・役職は取材当時のものです。